グローバル人材を目指す英語と思考のブログ

“ふつうの人”とグローバルをつなぐ英語と思考

グローバル人材に必須な哲学思考 「武器になる哲学」の紹介

今回は英語ではなく、グローバル人材に必須の哲学的思考法の本を紹介したいと思います。山口周さんの「武器になる哲学」です。この本は読み物としても面白く、ビジネス書としても役に立つとてもいい本です。

武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50

武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50

  • 作者:山口 周
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2018/05/18
  • メディア: 単行本

 

 

このブログのブックレビューでは三つの点について触れます。

  • オススメの理由
  • 二つの哲学コンセプトの紹介
  • この本を読んで気づいたこと

オススメの理由

まずはこの本の良い点を簡単に挙げたいと思います。詳しい説明はしませんが、4.の「端的に表現されたサブタイトル」は目次を見るだけで難しい名前の哲学コンセプトの内容がよくわかります。センスもいいですね。ここを読むだけでもぐっと哲学に近づいた気になれます。

 

  1. わかりやすい例を挙げて哲学のコンセプトを紹介している
  2. ビジネスシーンに応用できる
  3. 思考の幅を広げてくれる
  4. 端的に表現された各コンセプトのサブタイトル

二つの哲学コンセプトの紹介

次に今回は面白かったコンセプトをまず二つ紹介したいと思います。「認知的不協和」と「脱構築」です。言葉もちょっと難しくてかっこいい気がします。この本は全部で50個の興味深いコンセプトが紹介されていますが、ざっと見たい場合、全体を紹介する書評も多くあるのでそちらを参考にされると良いと思います。

認知的不協和

「人は自分の行動を正当化する為に、意識を変化させる生き物」とサブタイトルがついています。また、「事実と認知のな間で発生する不協和を解消させるために、認知を改める」と説明されていますね。これだとよくわからないですが、洗脳や恋愛が例として出されています。洗脳の話は気づきのところで述べますが、恋愛のケースでは好きでもない人からあれこれ世話を焼かれている内にその人を好きになるという例です。こわいですね。よくしてもらっているという事実を自分の感情と合わせるために、好きでもないのに自ら感情を好きに変化させ、自分の認知との差を埋めようと意識が動くようです。似たことははたしかに若かりし頃ありました。私もいつのまにか好きになったというパターンは大昔の経験からありますが、私の場合は親切を単に勘違いしていただけでした。

脱構築

「二項対立に縛られていないか?」がサブタイトルです。二項対立、つまりAが良くてBが悪いという主張を展開している人に「そもそもその問題設定がどうなの?」とそもそも論で投げかけることですね。西洋哲学の基盤であるこの二項対立を崩す為の手法で、議論、批判の王道でもあると書いてあります。またこの二項対立の枠組みはとても便利なので「強味と弱み」のようにビジネスによく使われるが、時として思考を制限するので脱構築でその制約から思考を解き放つと良いと書いてあります。

 

この本を読んで気づいたこと

 

認知的不協和は朝鮮戦争当時の中国共産党の洗脳法が例として出されていますが、いい悪いは別にしてこのアプローチをおそらく経験則から導き出したのはさすが中国四千年という気がします。自分の認識と違う現実をどう潜在意識がどう埋めようとするかを理解していたんですね。中国の哲学、諸子百家も非常によいテキストなのでまた別途紹介したいと思います。

 

この認知的不協和が実際にビジネスなどに役立つケースを経験を基に考えてみましたが、自分が正しいと思う意見やプロジェクトに反対されている時に「でも良いところもありますよねー」と言いつつ、少しでも肯定的な側面があることを相手に納得してもらうことで、反対側の意識の中に肯定的な価値を認識してもらい、ある程度の合意形成を進める、などでしょうか。この場合、「良いところ」の引き合いとしてある程度常識的、普遍的な事象を出すといいかもしれませんね。例えば「なんとかこの仕事をしてくれないか?」という他部署からのごり押しに、「でも労働時間や制裁賛成の改善はどのこ会社でも課題ですよね」などと言いながら話を進めるなどですね。実際この認知的不協和をまだ知らない時に使ってみましたが、結構理解してもらえました。

 

また、私は知りませんしたが、このコンセプトはマーケティングの世界では常識のようです。「食べまくりダイエット」など敢えて「そんなんあり?」という不協和を起こさせ興味を喚起し、本を買わせたり、アクセスさせたりする戦略として使われているようです。

 

次に脱構築ですが、いわゆるそもそも論でこれは結構皆さんも脱構築という言葉を知らなくても同じアプローチを実行している方も多いとは思います。ただこれはここぞとばかりの時に展開すると効果があるかもしれませんね。自分が結論を出さないのにそもそも論ばかりだと逆脱構築されてしまうので、まず大事なのが議論されている課題や議題の本質をうまく捉えることですね。例えば残業削減の議論時に「なぜ残業できないか」の理由を探りシステム化して残業時間を削減したとしても、そもそも「残業が発生する仕事自体があることが問題」といえる場合もあると思います。とはいってもいざ考えると物事や問題の本質ってなかなかよく分からないですね。本質って何?と聞く前にある程度自分自身も物事の本質にうついて考えることが大事だと思います。

 

 

最後にこの二つのコンセプトに限らず哲学的なアプローチの乱用は禁物ですね。議論はお互い追い込んだり追い込まれたりしますが、あまり説き伏せることだわりすぎると相手を言い負かすのに一生懸命になり、それこそ何のための議論からなくなる時もあると思います。明らかに無理強いされている場合や、どうしても!の時は威力を発揮すると思います。使うタイミングと頻度が大事ですね。

 

以上、「武器になる哲学」の紹介でした。その他に興味深いコンセプトもたくさんありますので、機会があればまた紹介したいと思います。