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本当に必要なスキルとは?|「2030年のスキル」を考える

こんにちは。今回はオクッスフォード大学やその他職業訓練機関等との共同研究として2017年に発表された論文「THE FUTURE OF SKILLS. EMPLOYMENT IN 2030」(以下「2030年のスキル」)について紹介したいと思います。この論文はタイトルで検索すればネット上でも公開されていますし、概要についてはいろいろな方が解説や動画をアップしています。”NEWS PICKS Magazine" (Vol.6) で上位、下位のスキル、インタビューがわかりやすく紹介されています。否応無しに様々な価値観がぶつかる現実世界でロコグローバル(ローカルでありながらグローバルに通用する)人材を目指す我々に必要なスキルが入っているかもしれません。2つの記事に分けて気になったスキルにいて考察していきたいと思います。今回は1.「2030年のスキル」の概要、2.第一位の「戦略的学習スキル」について、3.戦略的学習の理解と実行、の3つのパートの構成となります。

「2030年のスキル」の概要

この方はAIのMachine Learing領域が専門の方で、テクノロジーの進化により2030年までに職業が大きく変化し、必要とされるスキルがドラマチックに違ってくることをと120のスキルと雇用との相関性をもとに数値化し、ランク付けをしています。そのImplications(意味合い)は「求められるスキルが変わるので、(仕事のタイプにより)10年後に必要とされるスキルが変わっていくのでそれを学ぶべき」という点ですね。上位のスキルは”Learning Strategies”「戦略的学習能力」、”Psychology”「心理学」、”Instructing”「指導力」、”Social perceptiveness”「社会的洞察力」、”Sociology and Anthropology”「社会学・人類学」など、下位のスキルは”Control Precision”「操作の正確さ」、”Wrist-Finger Speed”「手作業の正確さ」、”Rate Control”「レート制御」などです(日本語訳は”NEWS PICKS Magazine" (Vol.6) を参照)。ここからもわかるようにこれらのスキルは同一階層にあるものでは無く、色々なレベル や性質のスキルとなっています。またスキルは広義的に定義されており、スキル、知識、能力を含めてスキルと定義されいます。これらのことからスキルという言葉にこだわるとややこしくなるので、身に付けるべき能力、ぐらいの考え方でいいと思います。では 今回の記事では第一位の「戦略的学習力」について考えていきたいと思います。

「戦略的学習力」について 一体どんなスキル?

この「戦略的学習力」というスキルはなにか?とちょっと考えてみましたが、言葉だけ見ると「言語明瞭意味不明」ですね。NEWS PICKSでは例としてご本人が例として「効率的なノートの取り方を知っている」と説明されていますが、この説明ではこのスキルの本質がよくわかりませんんね。スキルの定義を掲載している職業紹介データベースO*NET OnLine https://www.onetonline.org/によると次のように説明されています

Learning Strategies — Selecting and using training/instructional methods and procedures appropriate for the situation when learning or teaching new things.”

「新しいことを学習または指導する際に、状況に適したトレーニング/指導方法と手順を選択して使用する」となります。またGoogleでいろいろ検索してみると勉強のテクニック的なスキルというような説明が多いですね。私としてはもう少し広義的に人生におけるスキルと考え、「新しいことを戦略的に、効率的に学んでいくスキル」と解釈したいと思います。こう考えると言葉自体は新しく(少なくとも私は)、いかにも将来のスキルという印象を受けますが、今でも必要なスキルですね。この「戦略的学習力」についてはいろいろな理解があると思います。下記のサイトも一つの別なアプローチとして参考になると思います。

戦略的学習力とは何か解説します|2030年に必要なスキル1位 - 仕事とジャニーズを両立

次にもう少し深く理解するために「戦略的学習力」の「戦略的」という言葉を考えてみましょう、”Strategical"「戦略的」は戦争やビジネスでいかに勝つかで、必要対象に、必要な時に、適切なリソースを投入し、ゲームに勝つ、目的を達成する、ということですね。

戦略を誤ったり、戦略がなかったりすると悲惨です。いまでもちょっとしたトラウマになっているのは自分自身の「戦略なき留学」です。兵站(お金)はどうするか、専攻がどのような職を提供しているか、教授や他の学生とどうコミュニケーションをとるか、どう勉強するか、ということはすべでおざなりで、夢だけ留学の典型でした。もちろん期待する結果は得られませんでした。そもそも自分があの時に何を期待していたのかもよくわかりません。ただ、今であれば十分に戦略を練り、数倍、数十倍の価値ある経験が得られたと思います。これは過去のシナリオが既に存在するため戦略も立てやすいからですね。つまり過去の経験であれば何が重要だったが、どの様な戦略を立てればいかがよくわかります。しかし未来ではどうでしょうか。学ぶ対象もあやふやで確信がもてませんし、未来の時間軸であるため、どんな戦略を立てるかは一般的な人間であれば悩むところだと思います。

戦略的学習の理解と実行 未来のスキルは今とつながっている

このスキルの難しい点は何を学ぶか?という点で対象を定義していないことですね。新しいことを学ぶのはいいが何を学ぶのか?適切な状況をどう判断するのか?どの様に適切・最適な学習方法を選択するのか?には触れていないですね。ということはこの戦略的学習スキルはスタンドアローンなスキルではなく、学ぶ対象があってのスキルと言えると思います。ではどの様に対象を決定し、必要なリソースを投入していくか?に疑問は移っていきますね。私のアプローチとしては当たり前すぎますが、「まず考えて実行する」ことだと思います。

何を学ぶかについては「未来のスキル」という意識が先行すると新しい世の中を変える事象をまず頭に浮かべると思います。AI、ブロックチェーン、5Gなどなどニュースでも飛び交っていますが、これらの対象について一般常識的な学習は必要としても、その本質を理解して自分に必要なものかを見極める必要があります。実はもっとローテクだが自分にとっては新しいこと、例えばロジカルシンキングが必要なのかもしれませんし、対象も変化していくと思います。また、状況や学習法についても10年という長いスパンであれば状況を絶えず観察し、おそらく失敗も多く経験しながらその都度方法を変えていくことが必要となります。このようにみると「絶えず観察し、考え、実行する」ことでこのスキルは磨かれていくことになると思います。こう考えると「戦略的学習力」が特に未来の新しいスキルではなく、いつの時代でも汎用的かつ基本のスキルということになりますね。ただこの「戦略的学習力」を絶えず念頭においておくことは本当に大事だと思います、特にこれから留学される方は(笑)。

「戦略的学習力」の実行はそれになりに難しいと思います。まず対象が必要となりますので、この対象を見つける一つのアプローチとして、次の記事でこのスキルで12位にランクしている「哲学」について考えていきたいと思います。ただ、現時点で対象がなくとも日常にこのアプローチを使える事象はたくさん転がっていると思います。例えば仕事で時間も無い、何から手を付けてよいかわからないのであれば、仕事と自分の実益、興味が多少クロスオーバーするエリアというものが必ずあると思います。「英語も興味あるし、仕事に必要なので、AIでの翻訳機能が向上することを念頭にソーシャル的英語コミュニケーションを身に着けよう」というのもアリですね。未来も現在の積み重ねですので、今から戦略を展開してトライ&エラーで進んでいくとだんだん残スキルが身についていくと思います。

 

 以上、「2030年のスキル」から「戦略的学習力」についての考察でした。このスキルを使う上で参考になればうれしいです。次回は「戦略的学習力」を展開するベースとなる「哲学」について考えていきたいと思います。