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いつかやってくる「修羅場」を乗り越えるための本 -「ザ・会社改造」

「いつかやってくる修羅場とは?」

外資系に勤めていると良い点?の一つは「この職・仕事がいつまであるか分からない」とある意味で腹をくくれる環境にいるということですね。確かに外資でも日本では終身雇用制がまだ当たり前ですが、会社自体の存続も含めて、いつ何があってもおかしくない世の中になってきました。

それは突然、または真綿で首を締めるようにやってくる可能性はあります。コワいですね。また、ビジネスパーソンとしての残り時間が長ければ長いほどこのような「修羅場」に遭遇する機会はこれからも多くなると思います。

ここで言う「修羅場」とは会社の中で誰か怒鳴り散らしているとか、肩たたき部屋に入れられて退職を強要されるなどの一昔前のイメージではなく、日常の連絡メールのように事業所がクローズになったり、買収されたり、人整理が静かに、だが確実に起こっていく「修羅場」ことです。

そこでいつか来るだろう「修羅場」に対し、心構えができる1冊の本を紹介したいと思います。三枝匡さんの「ザ・会社改造」という本です。著者の三枝匡さんはターンアラウンドスペシャリスト(事業再生の専門家)です。彼がこの本の舞台である実際に存在する会社に社長として赴任し、会社を改造していくノンフィクションのお話です。読み物としても面白いですし、ビジネスパーソンへの示唆も多くありますので、お勧めの本です。ただ、題からもわかる通り、体育会系のノリも強いので、今の価値観に基づく働き方とは多少違和感があるかもしれません。10年ちょっと前の本ですが。

では、「修羅場」を乗り切るために、自分が今からどういう行動を取るべきかを示唆する2つの章を紹介したいと思います。第一章「「謎解き」で会社の強み・弱みを見抜く」と第7章「「時間と戦うオペレーション改革」に挑む」の二つです。

会社の事業分析をし、強味、弱みを理解する

この第一章「「謎解き」で会社の強み・弱みを見抜く」では著者が会社に赴任し、どのように強味・弱みを把握し、どの様な改革が必要であるかを策定するまでのお話です。

ここで私がさすがだなと思うのは「やめる」と言うことを1つの大きなアクションしていることです。つまりシナジー効果や成長のない事業から撤退することです。外資だと本社の意向もあり難しいですが、自分の頭の中だけでも「リソースの選択と集中」について考えておくことは大事です。次に彼は改革プランを8つ策定をします。この方はバリバリの事業再生の専門家なのでレベルの高い分析ができていますが、我々も自分で会社の事業や自分の仕事について分析することが大事ですね。このブログでもよく出てくる強味・弱み・重要度・優先度の四マス分析やSWOT分析のような簡単なもので十分です。このことにより、今後「修羅場」に遭遇しても、あらかじめ自分が何をすればいいである程度アテをつけることができます。危機管理プランのようなものですね。

オペレーションを平準化する

第7章「時間と戦う「時間と戦うオペレーション改革」に挑む」は事務方の改革のお話です。「業務複雑化・人が安定しない・個別最適主義・変わりたくても変われない病」など本質的問題はどこの会社も同じようですね。この章は合理的運用を目指し、13か所あるカスタマーサービスセンターを2か所に集約し、最終的には600人の仕事を145人で運用を可能にした、という内容です。 この章から得られる教訓はなにか?それは「複雑化に向かう仕事をどう効率化し、知識・経験を定着させていくか」です。この点を理解し、日常の業務のポイントとして実行することで、「修羅場」に対し慌てることなく対応できます。ここではカスタマーサービスが舞台となっていますが、私の会社もカスターサービスに限らず、事務方業務はひたすら細かい処理、例外処理、マニュアル処理に自然と向かいます。この章でも述べられていますが、本社側・営業側・オペレーション側がそれぞれ個別最適に向かうからですね。非効率な仕事が増加し、臨界点に達すると、人・知識が定着しない、できる人に仕事が集中する、顧客から苦情が増えるなどなど、じわじわとオペレーション側の崩壊が始まります。この本ではドラスティックな改革が社長のリーダーシップのもとに実行され、失敗を繰り返しながら進んでいく様子が描かれていますが、誰かが改革を始めるのを待っているだけではなく、自分の周りから改革を進めることが大事ですね。改革というと大袈裟ですが、色々な方向に延びていく枝をたえず剪定し、雨風に負けない太い幹を作るイメージです。

まとめ-「修羅場」に対する準備は日常の仕事から

私にとって思い出深い「修羅場」は倉庫の統合でした。この時はこの本に書いてある「死の谷」のような失敗は経験しませんでしたが、100時間を超える残業も続き、チームメンバーの誰が倒れてもおかしくないと言う状況でした。本質的な問題は統合される側の倉庫は30年ほどずっと同じことをやってきたガラパゴス的倉庫でオペレーション方法が大きく違っていました。 倉庫で働く方々は優秀で協力的でしたが、品番データからして定義が違うなど統一化されていないプロセスを統合することに非常に苦労しました。オペレーションの改革はは往々にして摩擦が起きたりしますが、プロセスを合理的レベルで標準化し、知識を蓄えておき、修羅場や災害に対してチームのそれぞれのメンバーが何をするか(たとえ数人しかいない部署でも)を日頃から考えておくことは大事ですね。この本は他の章でも色々な改革を扱っていますが、ここまでの改革をするということに至った経緯はどこの会社にもよくある問題です。この本読んで「あるある、そうだよね」と思った方は自分ならいつかやってくる「修羅場」に対し、自分がどうするかを考え、少しづつ改革を進めることをお勧めします。