グローバル人材を目指す英語と思考のブログ

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DXという黒船―ホワイトカラーの仕事はなくなるか?

DX(デジタルトランスフォーメーション、以下「DX」)という言葉をニュースやビジネス雑誌でよく目にするようなりました。多くの方々はDX の意味を「デジタル化によって社会をより良くする」と捉えていると思います。ただ、ビジネスパーソンの皆さんは DX に期待する一方で、「DXにより自分の仕事がなくなるかも?」と漠然とした不安を抱えている方も多いと思います。既存の仕事がAIなどのデジタル技術で置き換えられるというイメージも不安を駆り立てます。さらにデジタル化により管理職が不要になるというような発言も多く見かけます。

 

特にバブル期に社会人となった方は、パソコンが登場した時代に置いてきぼりになった「ダブルクリックが分からないおじさん」に自分の将来の姿を重ねた人もいるかもしれません。ただ、スマホやプログラミングに親しんでるデジタルネイティブ世代であれば DX 時代を生き残れるというわけでもありません。

 

今回は 「 DXであなたの仕事は本当になくなるのか?」をテーマに普通のビジネスパーソンが DX 時代をどう生き延びていくかを一緒に考えていきたいと思います。

 

 

DXとは? 

DXは様々な文脈で語られるので、イメージはなんなく掴めるが、具体的な説明するのが難しいですね。ここではよく語られる三つの文脈でDX を整理してみました。①社会の仕組みを変える、②新たなビジネスを生み出す、③既存の仕組み・仕事を置き換える、の三つになります。経済産業省が  DX を語る時には②の文脈になります。

 

経済産業ガイドラインでは次のようになっています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

経済産業省ホームページより「DX推進ガイドライン Ver.1.0」 https://www.meti.go.jp/

 

経済産業省のこのレポートを読んでみましたが、内容は極めてシンプルです。また経済産業省のホームページには「 DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~(サマリー)」というプレゼンテーション形式の情報もあるので見てみると面白いかもしれません。プレゼン資料はちょっと詰め込みすぎですね(笑)。

 

このガイドラインではもちろん企業に重点を置いているわけですが、「我々政府・行政は DX はちょっと難しいから、企業が頑張ってね」というような感もします。脱ハンコであれだけ揉めるんですから、一番変われないのが政府かもしれませんね。

 

次にDXがどんなデジタルテクノロジーを指しているかも押さえておきましょう。AI (人工知能)、 IoT(インターネットオブシングズ)、ブロックチェーン、 クラウドサービス、量子コンピューター、5Gなどです。英語の翻訳に時間を使わなくて済む、スマホでなんでも操作できる、ネット回線が速くなるなどDXのベネフィットを日常的に感じますね。量子コンピューターになると??? ですが、「圧倒的計算力を持つコンピューター」ということなので、 自動運転などと組み合わせ、日本全国の交通制御、事故渋滞削減という使い方もあるようです。

 

ふつうの会社・ビジネスパーソンへの影響 

「DXで仕事がなくなる」という論点は「ホワイトカラーの仕事がなくなる」という意味でから語られることが多いです。キーポイントは3つあり、「管理職の仕事がなくなる」、「事務的な仕事がなくなる」、「 DX に対応できなくなり、人そのものが不要となる」です。これら三つの点について「なぜなくなると言われているか?」、と「本当になくなるのか?」について考えてみます。先に結論を言えば「少なくとも普通の会社においてはホワイトカラーの仕事がすぐになくなることはない。ただし、DX 時代に何が求められているかを把握する必要がある」となります。

 

管理職の仕事がなくなる

管理職の仕事といえば「人・モノ・金」の管理ですが、 一般的に言われるのは「DXにより情報をまとめたり管理するだけの仕事は無くなるので、管理職は不要になる」という論法です。確かに部下からのレポートやデータをまとめ、上司に報告しているだけの管理職仕事はなくなるかもしれません。ただこれは一昔前の管理職のイメージですね。机に座って報告書やデータを眺めているという管理職は DX に関係なく今後はいずれ淘汰されることになるでしょう。また、多くの一般企業では管理職はプレイングマネージャーで実務をもっています。さらに今の管理職に求められているスキル、例えば人材育成やプロジェクトの管理、グローバルコミュニケーションはDX が苦手とする分野なので、無くなることはないでしょう。 

 

実務がなくなる

では実務はなくなるでしょうか?実務者はマニュアルな事務作業やエラー対応がなくなるのは大歓迎だが、自分の仕事がなくなるのは困る」という 矛盾した気持ちがあると思います。私の部下にヒアリングしたところ、一様にこのような反応をしました。ただ、紙やマニュアルベースでやっている作業がなくなっても、その作業がなくなるのであって、その仕事自体はなくなりません。仕事自体がなくなることは、会社の経営方針や経営戦略の変更によることがほとんどです。これも DX というよりビジネス世界でよく起こることですね。

 

仕事に対応できなくなる 

 DX というトレンドが一気に様々なレベルで加速し、今までのスキルでは仕事に対応できなくなるという心配をされている方も多いと思います。 ただ、経済産業省やビジネス書で語られている DX はデジタル化により新しいビジネスを生み出したり、競争力をつけるというコンセプトです。つまり先ほど書いたように会社の経営方針や戦略であり、普通のビジネスパーソンには直接の関係はありません。ただ、自分の働いてる会社や転職したい先の会社が DX を武器にして新たな価値を生み出せるような会社なのか、 DX ではなく独自路線で生き延びる戦略なのか、どちらの戦略もなく思考停止状態なのかをよく見極めておく必要があります。

 

DX前夜と夜明け

 DX は時代の流れでもあり、GAFAなどがこの流れで巨大な利益を生み出しているので、DXが最優先の課題の一つであることは間違いないです。ただし、企業への DX 導入を煽っているのはコンサル会社などのポジショントーク的な面も多くあると思います。 DX を導入したから優れた会社になるのではなく、 優れた会社や経営陣がいるから DX を活用できるということを理解しておくことは大事ですね。

 

自分たちの周りを見てもデジタル化は進んでいるといえ、まだまだ会社でハンコを押すことも多いでしょう。データ管理一元システムを導入しても、その上流下流のシステムがうまく連動せず結果に結びついてない企業も多いと思います。また、IT投資の人材もお金も十分に確保できてない企業も多いでしょう。さらに取引先によってはDX どころかFAXでしか対応できないところもありますね。そのような中で DX が一般的な企業まで押し寄せ、中間管理職や実務を駆逐したりすることは少なくとも数年はないでしょうね。まだまだ普通のかいしゃではDX夜明け前です。

 

今後、DX 時代で我々ふつうのビジネスパーソンに必要なことは会社を見極める力です。 DX を使えばどの会社も成功するというわけではないので、DX に関係なく、自分に納得感のある経営方針を掲げる会社であるかを批判的精神をもって見ておく必要があります。 もし自分が納得できる経営方針を掲げており、その本丸が DX であるとすれば、自分の仕事がリスクにさらされるぐらいの覚悟は必要でしょう。そこから自分が新しい価値を生み出そうとしている会社の一員として何ができるかを考える必要があります。もちろんDX的コンセプトと自分との親和性を高めておくことは大事ですが。

 

 DX 社会を生き抜くために必要とされている事は昔とあまり変わりませんね。正しい情報を持ち、先手打って動く人材が必要とされるのは戦国時代から変わりませんね。