今回は英語でのオンライン1on1 ミーティング中級編の「お作法」と「使える英語」をお届けします。
前回は「最初に抑えるべきポイント」として基本的な1on1 ミーティングのお作法と定番の英語について紹介しましたが、今回はもう少し踏み込んで1on1 ミーティングをより効果的に行うための具体的なポイントをお伝えします。
中級編は中学三年生レベルの英語力が前提ですが、「何となく伝わるがそれ以上何を改善したらいいかわからない」、「もっと効率的に1on1ミーティングを行いたい」、「英語は多少できるが、なかなか英語が口から出てこない」という方におすすめの内容です。
私といえば小人数の会議を含めると、最近の数週間でインド、中国、イギリス、チェコ、カナダ、オーストラリアの方々とオンラインミーティングで話しましたが、日本語の会議と比べるとやはり気を使います。ただ、準備し、ポイントになる定番の英語を押さえておけば、簡単な英語で日常的な会議は十分に対応できます。
オンライン1on1ミーティングの5つのポイント-中級編
1.アジェンダ(議題)を作成する
資料を準備しておくとこちらのペースで進めることができます。できればアジェンダには議題(タイトル)に追加で短くポイントを書いておくと良いですね。新規の案件であれば【NEW】などと書いておくといいでしょう。
例 :[NEW] Sales forecast: over budget in April
2.事前に資料を準備する
よく海外の同僚からさらっと「ちょっとミーティングで話したいんだけど・・・」というような依頼が来ます。相手から議題が提示されず、ちょっと意見交換というようなパターンも多いです。
この場合、説明をスムーズにするために簡単な資料を作成し、自分でリードを取るほうがスムーズに進行できます。
ミーティングが始まる前に、自分から資料をスクリーンで共有しておくのもアリです。相手も「ここから始めたいのね」と思ってくれます。
3.リハーサルをする
いくら頭の中で十分に準備をしていても、いざ話そうと思うとうまくいかないことが多いですね。 重要な議題についてはリハーサルを英語で直前に行っておきましょう。
お勧めの方法はまず英語で書いてみて、Google 翻訳で日本語に翻訳してみることです。ちょっと変な日本語になった場合は修正します。単純な英語でもちょっとした間違いで思わぬ内容で伝わる場合があります。
また、早めに会議室に移って一人で声を出して話してみると気持ちを切り替えれますよ(覚悟ができる?)。
3.相手が何を聞きたいかを意識して説明文を準備する
他の言語で会議をする場合、相手が自分の回答に何を期待しているかにフォーカスすることはより大事ですね。
例えば予算が超過している場合、予算超過の原因をまず説明したくなりますが、 相手が聞きたいことは「どのような対策があるか、今後どうなっていくか」です。 ”action plan” (対策)を中心に説明することがポイントです。
4.自分の「定番の進行パターン」を作る
グローバルコミュニケーションではローコンテクストコミュニケーション(ロジカルな分かりやすい説明)を意識することは大事です。自分の定番パターンを作っておけば、本題から逸れたりするリスクが減ります。
現状:状況が悪くなってるか、良くなってるかをできれば数字とともに伝えます。
原因:どうしてそれが発生したか、主な原因にフォーカスし伝えます。
対策:どのような対策を打っているか、打つ予定かを説明します。
今後の予測:対策の結果、今後はどうなるかを説明します。
5. 自分の意思を伝える「定番フレーズ」用意しておく
日本語での場合は気の利いた言い回しを使って自然に話せますが、英語で話す時もついつい同じように、「ビジネスとして成熟した会話」を意識してしまいます。このような会話を頭の中で英語に直すことはかなり難しいです。
この場合、シンプルに伝えるということを、一番の目標にし、ある意味で幼稚な伝え方で話す必要があります。「予算の超過が問題です。私は対策をします。対策はプロモーションの見直しです。対象は製品Aです」という感じですね。
このために、シンプルな構成の英語表現をストックしておく必要があります。
1on1で使える定番英語 -中級編
では先に説明したポイントを押さえながら、オンライン1on1 ミーティングで使える中級編の英語を紹介します。ネットでは会議で使える様々な英語フレーズが紹介されていますが、やはりネイティブ目線なので取り回しが難しいですね。私自身の経験に照らし合わせると、「ネイティブ目線の英語」の半分以上は使わない単語や言い回しです。Shall we get started?(始めましょう)なんて一度もつかったことありません(笑)。”Shall we start?”で十分です。今回の場合もあまり「ネイティブが使う英語」という感じではなく、「 中3英語レベルで会話を組み立てる」ことを意識して紹介します。冠詞なんかは適当でいいと思います(笑)。
アジェンダ(議題)
資料を共有することはにオンラインミーティングでは定番になりました。
- I am sharing my screen. Can you see it? 「私の画面を共有していますが、見えますでしょうか?」
- It is coming. 「(スクリーンがロード中で)もう少しで(相手の共有資料が)見えそうです」
- Shall we start? This is today’s agenda. Is it OK to go with this agenda?「アジェンダに沿って始めてよろしいでしょうか?」
説明する
順調に進んでいるか、期待する結果がいつどうなるか、理由は何かを説明します。
- It is on schedule. I think that I will be able to complete this task by the end of this week.「予定通りです。今週中にこの仕事を終えることができると思います」
うまくいってない場合は、一番大きな問題・原因をまず説明しましょう。
- It is behind schedule. There are two issues. The biggest issue is…「予定より遅れています。二つ問題があります。最大の問題は・・・」
確認のために、短く要約できるといいですね。
- So, what I wanted to say is that....「つまり私の言いたいことは・・・」
相手が聞きたかったことかどうかの確認も大事です。
- Does it answer your quesiton.?「これで回答になっていますか?」
原因などの説明は「今から説明しますね」ということを伝えるとスムーズです。
- I would like to explain why this happened. The reason is that the forecast was not accurate.「どうしてこのことが起こったかを説明します。理由は予測が正確でなかったためです」
理由を説明する為に “due to” もよく使われます。
- This problem happened due to the lack of preparation.「この問題は準備不足のせいで発生しました」
原因がぼんやりとしかわからない場合は「~のようだ」 と伝えましょう。
- It seems that there is a communication error. 「コミュニケーションエラーが原因のようです」
「何かをしておくべきだった」という場合は仮定法過去ですね。
- I should have done that last week.「先週それをやっておくべきでした」
対策をとる
対策をとる ”Take action”, “take measure” など色々な言い方がありますが、アクションでいいと思います。 日本語では「これこれこういう対策を打つ予定です」と簡単に言えますが、シンプル英語の場合は。”I will take an action on this. The action is…” と区切って伝えると分かりやすいですね。
すでに対策はとってあるか、今後取る予定かも明確に説明しましょう。
- I have already taken action. または The action has already been taken.「対策はすでに取ってあります」
予測する
今後どうなるかが関心の的になります、予測を伝えておく必要があります。”expect”が無難です。
- According to this plan, I expect that the operation will go back to normal.「このプランによればオペレーションは通常に戻ると思います」
必要に応じて「後で確認します」と加えましょう。
- I will double check it and will let you know.「再確認して後ほどお伝えします」
- Let's see how it goes.「様子を見てみましょう」
質問する
基本的な質問方法としてabout, Regardingなどを使うと質問が限定できて便利です。
- I have one question regarding the system maintenance.「システムメンテナンスについて一つ質問があります」
- May I ask a question? Regarding the new product you mentioned before, ...「質問していいですか?以前お話しされてた新しい製品についてですが・・・」
会議を終える
他に議題や質問がないかを確認して終わりましょう。「ではこれで終わります」は通常は主宰者側が言ってくれます。
- Do you have any questions?「他に質問はありますか」
- No, I don’t. That is all today.「ありません」
- All right. We will close the call. Thank you.「わかりました。これで会議を終わります」
番外編(ネットワーク不具合)
オンライン会議の場合、声が聞こえない、 または途中で回線が悪くなることがよくあります。基本の表現を押さえておきましょう。
- My connection is bad, I cannot hear you well. Sorry, could you repat that again?
「接続が悪いようです。よく聞き取れません。もう一度言っていただけますか?」
- Let me exit and will come back shortly.「一旦退出してすぐ接続し直します」
まとめ-ネイティブを目指さず、使える英語を目指す
1on1 ミーティング中級編導入はいかがでしたでしょうか。とにかくビジネス会話で何か求められているかを理解し、本質を大事にして短いフレーズで説明ができるといいですね。
簡単な英語でシンプルに進行することがポイントです。アジェンダの共有、 アクションリストのレビュー、現在の状況の説明、相手の回答に答えているかの確認などに注意を向けて進めましょう。
簡単に説明するということはローコンテクスト文化のコミュニケーションの基本ですし、結果的に物事の構成をシンプルに考えることができ、総合的なレポーティングのスキルが向上します。
後はマインドと「習うより慣れよ」ですね。私の部下に優秀な人がいますが、その方の場合は英語で会話ができる実力が十分ありますが、 英語での会議に積極的に参加したくはないようです。また他の部署でも優秀な方が彼の上司から「あとは英語ができればね・・・」と言われたという話も聞きました。その方も色々英語は努力してやっているようですが、やはり実務で使わないので、その方が参加した英語会議で自己紹介でかなり苦戦しているのを目撃しました。つまり、日頃から実践していないと、いざという時に今まで勉強したことが1割も出ないというような状況になりがちです。
「もう少し英語が上手くなってから」が一番怖い落とし穴です。そう思っている間に時間が過ぎてしまいます。やはり未熟な英語でも場数を踏んでくしかないでしょう。
英語でオンライン会議に抵抗なく参加できることは、今後の重要なビジネススキルとなります。また、英語でのコミュニケーションを上手く利用すれは、グローバルなコミュニケーションスキル自体も向上し、ロコグローバルパーソンとして活躍できる基礎体力がついてきます。
ネイティブを目指すといういばらの道を行くことなく、英語会議のスキルを上げていきましょう!