今回の記事は英語での1on1ミーティングの「よくある悩み」にフォーカスして対応策を紹介します。悩みに対するマインドセット、実践で役立つリアルな1on1ミーティング向けの簡単な英語のフレーズの2点です。
直近の2つの記事では「脱英語会議初心者!」で簡単なコツや初歩的なフレーズを紹介しました。「英語の会議はもう怖くない!」ではミーティング進行のポイント、状況や原因を説明するための英語について紹介しました。ただ、それでも伝わらない、理解できない、話せないなどの悩みはすぐには解決しませんね。
「1on1ミーティングの基本的な進行と英語は覚えた。アジェンダを準備し、事前にリハーサルもした。これ以上は何も準備することはないかな」という状態で臨んでもいつもうまくいくとは限りません。また、前回は上手くいっても、今回はボロボロで自信を無くしてしまうこともよくあると思います。
前回、前々回の記事で力説したようにやはり「習うより慣れよ」が一番大切だと思います。ただし漠然とミーティングをたくさんしても、やらないよりは100倍増しですが、効率的とは言えませんね。
このような状態でモチベーションを維持しながら1on1ミーティングのスキルを上達させるためには何が必要でしょうか?英会話全体に言えることですが、最大の悩みはやはり、「うまく伝わらない」、「何を言っているかわからない」、「なかなか口から出てこない」の三つですね。残念ながらすぐ効く特効薬はありませんが、これらの悩みに対しマインドセットをすること、ある程度対応のパターンを用意しておくことで、今後の上達は大きく違ってきます。
英語の「3大お悩み」をマインドセットする
英語が上達せず悩んでしまう方には、視点を変えて問題を捉えてみるマインドセットが有効です。マインドセットをすることで、「英語が上達しないという呪縛」から少し解放され、新たな視点で(願わくばリラックスして)会議に臨むことができ、英語学習のモチベーションも維持できます。ではマインドセットの例をみていきましょう。
「一度で伝わらないのは当たり前」
日本語でも話が一度で伝わらないのは当たり前で、相手が自分と違う意見を持っている場合は特にそうですね。丁寧に説明したり、何度も説明方法を変えたりして対応していると思います。つまり、たとえ簡単なコミュニケーションでも一度で伝わらないのはあたり前で、相手もそう思っていると考えて臨んだほうがよいでしょう。うまく伝わらなくても「再度英語で説明するチャンス!」という感じで張り切って再度トライしてみましょう。
また上手く伝わらず、自分の発言の後の沈黙・・・、これは嫌ですね。この場合、相手も「わかんないけど、どうしよう」と遠慮しているので、再度の説明はWelcomeなはずです。
「一度で理解しようと思わない」
逆もまた然りで、一度で聞き取るということにプレッシャーを感じないほうがいいですね。複数名参加する会議でも「~ということですかね?」と何度も確認しながら進行します。これはローコンテクストコミュニケーションの特徴で、内容をしっかり確認しながら会話を進めていくというのは普通のことです。一発で聞き取ろうと英語だけに集中しすぎず、内容とキーワードにフォーカスして、確認しながら進めるのがいいでしょう。
「 そもそも英語に触れていない」
この点はポジティブマインドセットというよりも、自分自身の現実を認識するという意味のマインドセットです。すぐに口から出ないのは普段英語を話していなければ当然ですし、普段から英語に触れるような環境がないと、自分の口から英語が出てこないのも当たり前ですね。このあたり自分が英語を勉強しているという期待値と実際の環境の差があります。 客観的にみて環境を整えることを考えてみましょう。
3大お悩み-対策英語フレーズ
では次に3大お悩みに対する具体的な英語の例文を紹介します。英文は前回と前々回の記事で紹介したフレーズと一部重複しています。もちろん中三英語レベルで組み立てています。
1.何を言っているかわからない(少しは推測ができる場合)
- もう一度言ってもらう。やりすぎても駄目ですが、しょうがないですね。1on1なら2回ぐらいは聞き直してもいいと思います。
- Can you say that again? Can you repeat it again?「もう一度言っていただけますか?」
- リフレーズする。ある程度意味が分かれば、自分でシンプルな英語に言い換えて確認しましょう。
- My understanding is that..... Do you mean that….? 「・・・ という意味でしょうか?」
- それでもダメな場合:ちょっと難しい内容については後でメールを送ってくれと言っておけばいいでしょう。
- Sorry, I don’t understand. Please send me an email (or sending a chart message) about this. I will get back to you within today. (by Tomorrow)
2.英語がうまく伝わらない
- 繰り返し説明する、2種類ぐらいのパターンを用意しておく
- リフレーズパターン:What I am trying to say…「伝えようと思っていることは・・・」
- 分解パターン:There two things are here, one thing..., and second thing is… 「2点あります。一つ目は・・・、二つ目は・・・」
- 資料を事前に見せておく。通じなかったら見せる。資料を用意しておくと気持ちが楽になりますね。
- I have a material to explain for you. 「説明用の資料があります」
- それでもダメな場合:「何を言っているかわからない」場合と同じでチャットやメールで伝えるようにしましょう。
- Sorry, I would like to explain to you by email (or chat) right after this call.「申し訳ないですが、このすぐ後にメールがチャットで説明させてください」
3.英語が出てこない
タイムリーなリアクションはコミュニケーションの重要な要素なので、うまくできないとストレスになります。そんな場合は、「考えるための時間を稼ぐ」ためのリアクション英語をいくつか用意しておくと便利です。焦った気持ちもちょっとは落ち着きます。
- Please give me a second. 「ちょっと待っていただけますか」
- I am trying to understand.「ちょっと考えています」
- I am not able to understand this, maybe I am misunderstanding this...「ちょっと分からないんですが・・・」
- Generally speaking…「一般的な話では・・・」
- Let me see...「(相手からの提案に対して)、そうですね、えーと・・・」
- I agree. Very true「そうですね、まったくその通りです」
- Sure, sure...「ええ、そうですね、なるほど・・・」
- Just wait a second, please. I am taking some note.「すいませんノートとってるので待っていただけますか」
- それでもダメな場合: この場合もやはりメールやチャットが説明がベストでしょう。
- I am not able to explain to you very well, 「あまりうまく説明できませんので、(後は上記と同じ)」
まとめ-英語で学ぶ世界で通じるコミュニケーション
1on1ミーティングのまとめとして、お悩みに対するマインドセット、お悩み対策としての基本的な英語を紹介しました。「英語でうまく会話できない」問題やストレスに対し、マインドセットで「コミュニケーションは母国語でも一度て通じないことが当たり前」、「どのくらい英語に触れる環境に自分を置いているか」を考えましょう。そしてうまくいかない場合でも何度もトライする姿勢、継続して勉強続ける体質を作りましょう。さらに基本的な英語で定番の会議用英語を最低限ストックし、間違いを恐れずに積極的に使ってみましょう。これらのポイントを押さえれば、1on1ミーティングの基礎体力がついていきます。
「習うより慣れよ」と言ってもそんな機会がない人や、オンライン英会話をする時間もないという人は、自分の家族の人に聞いてもらうだけでもいいかもしれません。 自分一人でやるシュミレーションよりも緊張するので効果は高いと思います。音痴の人が家族の前で歌うようなものでプライドも捨てれます。
英語の勉強以外で気を付ける点は、英語の勉強に集中しすぎないことです。英語の勉強を頑張れば基礎体力はつきますが、試合でプレーできるようになはなれませんね。
この点について、「英語の能力と世界との距離」についてお話をしたいと思います。数年前に世界各国からミドルクラスリーダーが集まった講習が開催されました。印象に残っているのは、そこでポルトガル人の方が意気揚々と各国の人々とマーケティングや自国の市場ついて話していたことです。日本人の私はいろいろ話しかけても相手の反応はイマイチでした。そのポルトガルの方と朝食時にたまたま話しましたが、日本の売り上げはポルトガルの約30倍以上ということを説明すると、絶句していました。おそらく日本の売上を知らない他の参加者も同じように考えていたと思います。つまり、ビジネスへの貢献度にかかわらず、コミュニケーションの質で世界との距離感はずいぶん変わっているということです。 この時の悔しさがこのブログを立ち上げた原体験の一つになっています。
このように世界との距離を縮めるためには、英語力だけでなく世界標準のコミュニケーションスキルやビジネススキルを磨いていく必要があります。ただ道のりは長いので、まずは1on1ミーティングを通してビジネススキル全体を底上げするような気持ちで取り組むことがお勧めです。私も自分の英語コミュニケーションの質にストレスを感じますが、この方法で悲観することなくモチベーションが保てています。 「英語でコミュニケーションを学ぶ」という姿勢でロコグローバルパーソン(ローカルにいながらグローバルで活躍できる人材)を目指しましょう!