ロコグローバルパーソン

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MBAオペレーション戦略-企業経営の像が理解できる

回は、当ブログでオペレーションに関する記事を書いた際に参考にした本を紹介したいと思います。「オペレーションとは何ぞや?」についてとことん追及するつもりはないのですが、再度この本を参考にオペレーションについて頭を整理してみました。

「MBAオペレーション戦略」(グロービズ・マネジメント・インスティテュート編、発行所:ダイヤモンド社)は、企業のオペレーションの全体像が上手くまとめられており、オペレーション(機能)の連携を理解する上でおすすめの本です。

この本は初版の2001年より改定されていないので、内容や例がちょっと古く感じます。同じグロービズのマーケティングなどは改定が何度もされていて、オペレーションの地味さを感じさせます。

しかし、この本で企業オペレーションの本質と基本を十分理解できると思います。

この本についての概要

オペレーションについては次のような位置づけで書かれています。

日常の企業活動そのものがオペレーション

次に企業の日常活動を「5つの業務連鎖」として次のモジュールに分けています。1.CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)、2.SCM(サプライチェーン・マネジメント)、3.調達、4.研究・開発、5.管理・スタッフ業務の切り口で分け、それぞれ定義とポイントが解説されています。

 

そして、これらのモジュールを最適化することで、オペレーション・エクセレンスが実現できるとしています。オペレーションエクセレンスの定義は下記の通りです。

オペレーションを競争上の優位性にまで徹底的に磨き上げている状態

また、オペレーション品質を測定する4つの物差しとして「スピード」、「正確性」、「コスト」、「継続性」を挙げています。

 

次に5つのモジュールと各モジュールの基本的なアプローチが紹介されています。20年前ということを考えると、この切り口は新鮮だったと思います。

CRMの定義

顧客との関係性を強化するための様々な顧客接点を含む、企業活動のフロントラインのオペレーション

ポイントとしては顧客のニーズの吸い上げ、重要顧客の見極め、販売チャンネルの設定などが挙げられています。

SCMの定義

製品を生産し、顧客に届けるまでのプロセスのオペレーション

ポイントとしては実需に対して事前に製品を供給する「プッシュ型モデル」、製品ライフサイクルの把握、在庫と売り上げの関係性の見極め、ITの活用などが挙げられています。

調達オペレーションの定義

必要な品質を満たす資材を最小のコストで、安定的に調達する

ポイントとしては共同購買やネット購買、調達先との戦略的パートナーシップ構築などが挙げられています。

研究・開発オペレーションの定義

研究開発に関わるオペレーション

そのままですね。IT化や「技術のフロント化(研究開発職と顧客接点を増やす)ことがポイントになっています。

管理・スタッフ業務のオペレーションの定義

企画・管理や人事、経理、総務など、会社を統括したり、様々なサポートを行う「本社」と呼ばれる機能

シェアードサービスの導入、戦略部門への投資、ルーチン業務の平準化などがポイントとなっています。

後半の章ではオペレーション改革のポイントとして、計画の重要性やトップのコミットメント等が挙げられています。それに基づきオペレーション改革を達成したケーススタディも紹介されています。

本書から得た気づき

オペレーションエクセレンスにより優位になった企業は、トップのコミットメントの元、IT等(今はDXですが)の時代の先端を行くツールを使った改革を行うことで、優位を確立してきたことがわかります。

ただ、この本書に例として挙げられているオペレーションエクセレンスを実行している企業、例えばシャープが現在どうなっているかは皆さんもご承知と思います。いわゆる「イノベーションのジレンマ」(イノベーションを起こしてもいずれ別のイノベーションを起こした企業に駆逐される)のためです。オペレーション改革には終わりがなく、グローバルな視点をもった改革が必要になっていることを物語っています

ほかにもDellなどが例として挙げられていますが、Dellは成長を続けており、シャープとの明暗については別の機会に考えてみたいと思います。

まとめ-企業オペレーションの基本がわかる

おすすめ度:☆3つ。読んでおいて損はないと思います。

良かった点:オペレーションを包括的にまとめた本がなかなかないので、この本を読んで頭の中を整理することができました。5つのモジュール、CRM、SCM、調達、研究開発、管理の5つの業務連鎖が企業オペレーション=企業活動ということがシンプルに理解できます。

その他:この本を編集したグロービスが提供するオンライン学習サービス「グロービス学び放題」では、 オペレーションは次のように再定義されています。

「経営戦略から提供される顧客への提供価値のベースとなるQCDFを実現することで、経営戦略からの要請に応える」

QCDFとはQuality(正確性)、Cost(コスト)、Delivery(スピード)、Flexibility(柔軟性)です。Qualityは通常「品質」ですが、過剰品質にならない顧客の要望に合わせた品質の実現という言い合いで「正確性」となっています。この視点ではSCMや調達が中心となっています。CRMオペレーション等に比較すると、やはりSCMや調達を含めたオペレーションは規模が大きいですね。

オペレーションエクセレンスはやはり「優れた経営戦略ありき」で、それを支える役割ですが、成熟期以降の企業では、優れた経営戦略が生むためにはオペレーションからの知見も必要となります。そのためにもこの本でオペレーションの基本を整理できよかったと思いました。

 

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